ICLにもリスクや合併症はある?
信頼できるクリニックで受ければ、安全性が高いとされるレーシックやSMILEなどの視力矯正手術と比較しても、角膜を削ったり、形を変えたりしないICLは、その分、合併症の発生リスクが低いといえます。それでもゼロではない以上、起こり得る合併症やリスクを正しく知っておくことが大切です。
起こり得る合併症について、しっかり説明してくれる病院を選びましょう。
潜在的な眼の病気により合併症が発生しやすくなりますので、ICLが受けられるかどうか、適応検査を慎重に行うことが重要です。
ハロー・グレア
夜間や暗いところで光を見た際に、光の周りににじんだ輪が見えるハローやギラギラとまぶしく見えるグレアの症状が出ることがあります。
ホールICLの場合、多くの人が手術後に光の輪が見えるレンズ特有の現象を感じます。
ただし、その症状も時間の経過とともに軽くなり、術後1~3か月で、ほとんど気にならなくなります。
また、レーシックで角膜を削って高次収差が増加するために起こるハローやグレアに比べ、
ICLのハローグレアは、軽度だと言われており、ほとんどの方は数カ月で解消します。
白内障
開発当初からの眼内レンズでは、長期的にみると、ICLを受けた方の2~3%に、眼内の水(房水)の流れを妨げてしまうことが原因で白内障(水晶体の混濁)が起こるリスクがありました。ところが、眼内レンズの真ん中にごく小さな穴をあけたホールICLが開発されてからは、この合併症はほとんど発生しなくなっています。
レンズ偏位
外傷により、ごくまれにレンズが前房へ脱臼したりずれることがあります。この際は手術でレンズを元の位置に戻します。
トーリックICL(乱視付きレンズ)の再固定
術後に乱視が残って見にくい場合は、レンズの位置(向き)の修正が必要になる場合があります。乱視には0~180°の向きがありますが、それが合っていない場合にはレンズの向きを補正します。
レンズの入れ替え
眼内レンズと水晶体の間隔が狭すぎたり、逆に広すぎたりした場合、手術後に過矯正あるいは低矯正になった場合などにも、サイズや度数の違う眼内レンズに入れ替えるための再手術が必要になることがあります。
またICLにおいては非常にまれですが、一般的に屈折矯正手術には次のような合併症リスクをともないます。
結膜下出血
手術時に黒目と白目の境を切開するので時に出血する方がいます。この出血は術後1~2週間で自然に吸収されます。
一過性角膜浮腫
手術の侵襲で術後一時的に透明の角膜が浮腫を起こし濁ることがあります。ほとんどの場合、術後1週間では改善されます。
角膜内皮細胞減少
前房型のフェイキックIOLでは、術後数年で内皮細胞が激減してフェイキックIOLを抜去しなければならない重篤な合併症が報告されています。一方、後房型のICLでは、内皮細胞は経年変化の範囲内で手術侵襲では減少しないと言われています。
眼内炎
細菌や真菌(カビ)の感染によって目の中に重篤な炎症を起こすもので、前房蓄膿も見られます。緊急の処置が必要であり、眼内を薬で洗浄したり、場合によっては一時的にICLを抜去して感染が治癒してから再度挿入しないといけないこともあります。ICLの眼内炎の確率は1/6,000人で白内障手術よりも少ないと言われていますが、術前後の点眼薬をしっかりと使用すること、また術後の洗顔など注意事項をしっかりと守ることも大切です。手術などによる外因性の場合、術後2、3日での発症が多いのですが、原因菌によっては術後半年から1年以上経って発症することもありますので、定期健診をしっかり受けておきましょう。激しい眼痛、眩しさ、充血が起こり、急激な視力低下、部分的な視野の欠損、失明などに至ることもあります。
前房出血
手術の際に、眼球外壁の強膜(白目)にある房水排出路あるいは眼球内の虹彩、毛様体などから出血することがあります。術後2~3日はかすんで見えますが、処方された点眼をしっかりとすれば改善します。
黄斑浮腫
白内障手術では時として見られますが、ICLでは極めて稀です。抗炎症の点眼薬や内服薬で改善します。
瞳孔ブロック緑内障
瞳孔ブロックによる高眼圧が引き金となり、緑内障を引き起こすことがあります。以前のホール(穴)のないICLでは時に見られましたが、ホールICLになってからは起きません。
虹彩炎
目の手術後はどんな手術でも炎症を起こします。ICLでも虹彩炎(前房内の炎症)が起きます、軽度の場合は充血とかすみが症状として出ますが、点眼薬と場合によっては内服薬で改善します。術後の点眼薬をしっかり使用して注意事項も守ることが大切です。